どうも、どくしょーです(@『Life』book)。
通勤もない、カンファもない、仕事もない。
旅に出る前は想像できなかった生活。最初は違和感しかなかった。
大学を卒業し、初期臨床研修医として働き始めたころは毎日が新鮮だった。
日々担当させてもらう患者さん。
全く同じ症例はひとつもなく、臨床経験が不足している自分は同期と競うように夜も病院に残り、専門書を片手に勉強した。
上級医に指導されながら様々な手技もできるようになっていった。
採血、ルート確保、CV、挿管、手術…。
できることが増え、色んな症例を経験する中で「先生のおかげで退院できました」とお世辞でも嬉しいことを言ってもらえるようにもなった。
研修医が終わるころには少し自信もついた。
医師を目指したのはサッカーに関わる仕事がしたい、スポーツドクターになりたいというのがきっかけ。
初期臨床研修でさまざまな科をローテートしても思いは変わらず、スポーツドクターに一番近い「整形外科」を専門とすることにした。
整形外科を専門とするうえで「骨折治療・外傷治療」はおろそかにできない。
その思いから研修医を終えてから9年間、急性期病院、救急救命センターで働いてきた。
職場の上司にめぐまれ、加速度的にできることが増えていった。
同時期に整形外科医として生きていくことを決めた頼もしい同僚にもめぐまれた。
まだまだ未熟な自分の指導にも一生懸命に耳を傾けてくれる後輩にもめぐまれた。
そんなめぐまれた環境だったが、医療現場は慌ただしかった。
日勤をこなし、そのまま当直。さらに翌日の日勤をこなす。36時間勤務なんて当たり前。そして翌日は普通に日勤…。
平日5日勤務をこなした上に数回の土日の勤務も。
夜間、休日でも緊急手術があれば病院へ行き、担当患者さんに何かあれば携帯電話が鳴る。
おおげさかもしれないが24時間365日病院から意識が離れることはなかった。
だから毎年夏休みは海外に出かけた。携帯電話が鳴らない海外へ。
自分で忙しくする環境と周りに忙しくされる環境。
ながれる時間は同じかもしれないが、質が違う。
酔っぱらい運転で事故をおこした人、自分で命を絶とうと飛び降りた人が搬送されてきて真夜中に呼び出される。
医療者である以上、目の前の患者さんに全力で治療にあたるのが当然。わかってはいるがモヤモヤした気持ちも出てきた。
時間がなくなれば余裕がなくなり、患者さんに対して十分に思いやりを持てなくなっていった。
時間がなくなれば余裕がなくなり、自分のことは後回しになっていった。
目指したサッカーに関わる仕事もどこかへいった。
やりたいことが分からなくなった。
このままではダメだ。
漠然とした思いで、仕事を辞めて、嫁さんと旅に出た。
はじめは仕事を辞めて、こんな好き勝手していいのかなと思っていた。
現場を自分の都合で辞めて、残っている人に負担をかけて、迷惑をかけて申し訳ないと罪悪感もあった。
ただその罪悪感を圧倒的に凌駕するほど旅はおもしろかった。
ありきたりだけど世界は広かった。
見るもの、訪れるとこすべてが新鮮だった。
出会ったひとたちはみんな刺激的だった。
やりたいことがあって、夢に向かってまっすぐ進んでた。
色んな場所に行き、色んな人に出逢って、色々と影響を受けた。
旅に出る前は自然よりも都会が大好きだった。
気がつけば自然の方が好きになった。
授業や本で習っていた場所は、
実際に訪れて、はじめて湧き上がる感情があった。
変わらずサッカーは好きだった。
昔好きだったサッカー選手が、引退後「自分探しの旅に出る」といって世界を巡っていたのを思い出した。
旅に出る前までは「自分なんてそこにいるやん。」「探すものじゃない。インドになんかおらんで。」と思っていた。
けど知らない世界に出て、知らない景色に触れて、知らない人に出逢って….。
どんどん自分が変化していくのを感じた。
知らない自分に出会えた。
そしてそれが心地よかった。
慌ただしく、立ち止まらず働き続けた11年間。
その忙しさを言い訳に色んなことから目を逸してきた11年間。
仕事を辞めて、こんな好き勝手していいのかなと思っていたけど、こうしてリセットできて、本当によかった。
本当にこういう時間は貴重。
一度立ち止まってキャリアを考える。そんなつもりだった、この旅。
ゆっくり時間ができると本当にいろんなことを考えれた。
仕事のこと、家族のこと、将来のこと。
その中で、見つけたひとつの答え。
「自分のやりたいことをする」。
シンプルだけど大事なこと。
「やりたいことをする」、「やりたくないことはやらない」。
常にワクワクしていたい、変化していたい。
色んな世界を見てみたい、色んな人に出会いたい。
そうすることで自分に余裕が生まれれば、より患者さんのことを考えられる。
2018年も半分が過ぎた。
我ながら贅沢な時間の使い方をしたと思う。
こうして贅沢な時間を過ごせたのも今まで自分と関わってくれたすべての人のおかげだと思う。
本当にありがとうございます。
そして、こんな自分に付き合ってくれた嫁さん。
本当にありがとう!!!
4年後また世界を旅しよう!!!
さて2018年後半。「やりたいこと」をやっていこう!!
お付き合いいただき、ありがとうございました。